三機工業 Research Memo(1):産業空調を中心とした建設設備の総合エンジニアリング会社

2025年6月18日 11:01

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記事提供元:フィスコ

*11:01JST 三機工業 Research Memo(1):産業空調を中心とした建設設備の総合エンジニアリング会社
■要約

三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年以上の実績から培われた高い技術力と信用力である。

1. 2025年3月期の業績概要:営業利益は前期比88.9%増、過去最高を記録
2025年3月期の業績は、売上高が253,136百万円(前期比14.1%増)、営業利益が21,893百万円(同88.9%増)、経常利益が23,071百万円(同80.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が17,203百万円(同92.2%増)となり、営業利益は連結決算発表以降(1983年以降)で過去最高となった。前期からの繰越工事を順調に消化し売上高が大幅増となった。損益面では利益率改善に向けた内部努力や好採算工事が進捗したことで売上総利益率は18.8%(前期15.6%)と大きく改善し、売上総利益額は前期比37.1%増となった。一方、販管費は、主に人件費増(待遇改善等)により同11.0%増となったが、ほぼ予算どおりに留まったことから営業利益は前期比で大幅増益となった。受注高も264,965百万円(同14.0%増)と堅調に推移し、期末の次期繰越高は210,731百万円(前期末比5.9%増)と過去最高を記録した。

2. 2026年3月期の業績見通し:利益率改善で営業利益は前期比11.9%増を見込む
2026年3月期の業績は、受注高が240,000百万円(前期比9.4%減)、売上高が250,000百万円(同1.2%減)、営業利益が24,500百万円(同11.9%増)、経常利益が25,000百万円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が19,500百万円(同13.3%増)と予想している。売上総利益率は手持ち工事の内容等から20.6%(同1.8ポイント上昇)、販管費は同5.5%増を見込んでいる。同社によれば、「期末の個別繰越工事高1,892億円のうち、約1,300億円は期中に完成予定」とのことから、この業績予想は達成される可能性は高い。今後の期中受注や工事の進捗状況によってはさらなる上方修正の可能性があると弊社では見ている。

3. 新「中期経営計画2027」を発表し、2028年3月期に営業利益300億円を目指す
同社は2016年3月に、創立100周年の2026年3月期に向けて10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表したが、既に前期(2025年3月期)でこの目標値をほぼ達成した。そのため今回新たに、2028年3月期を最終年度とする新しい計画「中期経営計画2027」を発表した。「深化と共創」の重点テーマの下、戦略骨子として「事業戦略」「財務・資本戦略」「成長投資戦略」「R&D戦略」「人財戦略」「DX戦略」を定め、定量的目標として2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円、ROE16.0%以上などを掲げた。今後、これらの「定量的目標」と「定性的目標」がどのように達成されていくか注目したい。

4. 株主還元にも前向きで2026年3月期も年間配当165円を予定
同社は株主還元にも積極的である。前中期経営計画“Century 2025”Phase3における株主還元方針に基づき安定的な還元を実施してきた。終了した2025年3月期も、好業績を背景に年間配当165円、141万株の自己株取得を行い、2025年3月期の配当性向は50.6%、総還元性向は73.6%となった。進行中の2026年3月期も年間配当165円(中間82.5円、期末82.5円、予想配当性向43.8%)を発表している。単に業績向上を目指すだけでなく、株主還元においても積極的な同社の姿勢は評価できる。

■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率の改善が進む
・2025年3月期は88.9%の営業増益、2026年3月期は11.9%増の営業増益を見込む
・新中期経営計画を発表、2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円を目指す
・株主還元に前向きで2026年3月期も年間165円配当(配当性向43.8%)を予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)《HN》

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