三機工業 Research Memo(4):2025年3月期の営業利益は前期比88.9%増と過去最高。受注高も高水準維持

2025年6月18日 11:04

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記事提供元:フィスコ

*11:04JST 三機工業 Research Memo(4):2025年3月期の営業利益は前期比88.9%増と過去最高。受注高も高水準維持
■三機工業<1961>の業績動向

1. 2025年3月期の業績概要
(1) 損益状況
2025年3月期の業績は、売上高が253,136百万円(前期比14.1%増)、営業利益が21,893百万円(同88.9%増)、経常利益が23,071百万円(同80.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が17,203百万円(同92.2%増)となった。

前期からの繰越工事を順調に消化したことで売上高は前期比で大幅増となった。損益面では、利益率改善に向けた内部努力や好採算工事が進捗したことで売上総利益率は18.8%(前期15.6%)と大きく改善し、売上総利益額は前期比37.1%増となった。一方、販管費は、主に待遇改善による人件費増などから同11.0%増となったが、ほぼ予算どおりであったことから営業利益は前期比で大幅増益となった。

受注高も264,965百万円(同14.0%増)と堅調に推移し、期末の次期繰越高は210,731百万円(前期末比5.9%増)と過去最高を記録した。


セグメント別ではビル空調衛生と産業空調が大きく貢献

(2) セグメント別売上高と売上総利益
建築設備事業の売上高は208,981百万円(前期比14.5%増)となった。サブセグメント別では、ビル空調衛生の売上高が、手持ち工事を順調に消化したことから同21.5%増の73,782百万円と大幅増となった。同社が得意とする産業空調は、EV電池関連などを中心に大型受注残を消化して91,264百万円(同14.6%増)となった。電気も産業空調と併せて受注したEV電池関連の大型案件を順調に消化して30,553百万円(同11.1%増)と堅調に推移した。ファシリティシステムは前期の反動があり、13,381百万円(同8.7%減)と、減収となった。

プラント設備事業の売上高は42,235百万円(同14.1%増)となった。サブセグメント別では、機械システムが10,934百万円(同3.2%増)と堅調に推移した。環境システムは、廃棄物処理施設の大型繰越工事が進捗したことなどから31,300百万円(同18.5%増)となり、初めて300億円超となった。不動産事業の売上高は2,592百万円(同4.4%増)、その他が739百万円(同16.9%増)といずれも堅調であった。

セグメント別の利益(売上総利益)については、建築設備事業が39,279百万円(同39.6%増)となった。サブセグメントの内訳としては、ビル空調衛生・産業空調・電気が、主にビル空調、産業空調の続伸により36,508百万円(同44.4%増)となった。増収に加えて、受注時に採算の良い工事が進捗・完成したこと及び施工中の利益率改善により大幅増益となったが、特にEV電池工場の完成が寄与した。ファシリティシステムは第1四半期に発生した不採算工事の影響で2,770百万円(同3.2%減)と、減益となった。

プラント設備事業の売上総利益も7,544百万円(同32.0%増)と堅調であった。サブセグメントでは、機械システムが1,535百万円(同62.7%増)となった。採算性は依然として低調だが、物価上昇に対する価格転嫁が進んだことにより売上総利益率が改善し前期比では増益となった。環境システムは、大型案件が完工したこともあり6,008百万円(同25.9%増)と堅調であった。不動産事業及びその他の売上総利益は、それぞれ987百万円(同1.3%増)、119百万円(同42.4%増)となった。


受注高は前期比14.0%増と過去最高水準、特にEV電池関連が堅調。繰越工事高は前期末比5.9%増

(3) セグメント別受注高
建築設備事業の受注高は218,590百万円(前期比19.1%増)となった。特に上期に都市再開発やEV電池工場などの大型工事を受注したことにより大幅に増加した。サブセグメント別では、ビル空調衛生の受注高が69,564百万円(同31.2%増)と大幅増となったが、主に都市再開発などの大型工事を受注したことによる。また産業空調は、EV電池関連などを中心に大型受注を獲得して94,137百万円(同3.9%増)となった。ここ数年で大型受注を獲得したこともあり通期での伸び率は小さくなっているが、水準自体は依然として高い。電気もEV電池関連の大型案件を受注して40,447百万円(同57.9%増)と大幅増となった。ファシリティシステムは14,441百万円(同0.8%増)とほぼ前期並みであったが、水準自体は高くなっている。

プラント設備事業の受注高は44,300百万円(前期比4.9%減)となった。サブセグメント別では、機械システムが10,933百万円(同2.8%減)となったがマテハン関連がやや低調であった。環境システムの受注は、33,396百万円(同5.6%減)となったが、前期に複数の大型工事を受注し、豊富な繰越工事を確保していることから、施工体制を考慮して受注活動をやや抑制したことも影響した。不動産事業の受注高は2,592百万円(同4.4%増)、その他が730百万円(同15.0%増)といずれも堅調であった。

この結果、調整額を含めた総受注高は264,965百万円(同14.0%増)、期末の次期繰越高は210,731百万円(前期末比5.9%増)となり、いずれも連結決算発表以降で過去最高となった。業種別では、電機、自動車、医薬、不動産などの伸びが高かった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)《HN》

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